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テスト前であるためか、授業の内容を無意識に頭の中で反復しながら湊もルカを実体化した。
「ルカ。」
湊が呼び掛けるとルカはいきなり寄りかかってきた。
「おっと。いきなりどうしたんだよ。」
湊は自分の鼓動が早くなるのを感じながらもルカに問いかける。
「一緒にいられると思ったのに……。」
ルカはぼそりと呟いた。
「いやいや、離れると言ってもテストの間だけだよ。それに、今日は二時間しかないし。」
「でも~。」
ぷくっと頬を膨らませてむくれるルカ。
可愛いけどこのままでは置いていけない。
「大丈夫。終わったら絶対にすぐに戻ってくるから。それまで少し、本当にすこしだけ待ってくれないか?ね?」
湊がルカの頭を撫でながら言うと嬉しそうにさらにすり寄ってきた。
「湊がそういうならルカは待ってる。そのかわり!真っ先にルカのところに戻ってくること!分かった?」
「分かったよ。」
湊が頷くとルカはパアッと顔を明るくして抱きついてきた。
「まったく。」
湊はルカの頭を撫でながら呟く。
ん?やけに視線が……。
ハッ!ここは教室だった!
湊が気づいたときにはクラス全員が自分一人に注目していた。
それはもう本当に様々な表情で。まさしく十人十色。
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