紫陽花とメランコリー

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はぁ、はぁ……!」 思わず逃げ出してしまったけれど、フユキはどう思っただろうか。 「…フユ兄…」 誤解を生んでなければ良いんだけど…。 「どうしたですか?」 「わぁっ!?…あ、ナツキさん…」 顔を上げた先には、きょとんとした顔のナツキの姿。 手にはお菓子の袋。 「…朝、フユキにもらったですよ。一緒に食べましょう」 「フユ兄に…」 優しく微笑むナツキに、思わず笑みが溢れた。 「はい、いただきます」 ナツキの隣は、いつも温かい。 座るとふんわり、日溜まりの中にいるような気持ちになれる。 そういえば、フユ兄も、ちょっとだけ似た雰囲気だなぁ…。 最近は、顔を見ればドキドキしっぱなしでそんな雰囲気も味わえてないが、あの優しさと落ち着いた雰囲気が好きで、ずっと想っていたんだった。 「…あの」 「?なんですか?」 「……おいしい、ですね」 フユ兄特製ラスクは、甘くて香ばしくて、優しい。 「…俺、行きますね!」 いてもたってもいられなくて、ナツキに短い礼をして走り出す。 フユ兄に会いたい、会わなきゃ…!
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