1、それは暑い夏の日に

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その後は、他愛もない事をぽつりぽつりと話して、一緒に雨上がりの虹を見た。 「バイバイ」 「ん、じゃあね」 華ちゃんに秘密が出来ちゃったなぁ。 でも、良いか何にも無かったし。 圭介は、別に怖くなかったし。 頭のなかで言い訳を並べながら、後でバレるのとちゃんと白状するのと、どちらがましか考えた。 う~ん……どっちにしろ怒られるよねぇ。 「もう無くなっちゃったぁ」 「なにが?」 「ヒィッ!」 「何よ。化け物見たみたいな顔して」 虹の無くなった空を見上げて独り言を呟いたら、後ろから華ちゃんの声がして飛び上がった。 うん、白状しよう。 その方が少しだけ、少しだけだけどましな気がする。 「どんだけゆっくり歩いてたの?」 「雨降ったから雨宿りしてたんだよ?後ね、初めて当たったよ~!」 当たり棒を見せながら言うと、またそれなのねって鼻で笑われた。 だって、夏はこれって決めてるんだもん。 まぁ、夏じゃなくても食べるけど、夏は他の季節よりずっと美味しくなる。 暑いから。
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