1、それは暑い夏の日に

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出会いは、別段ロマンチックなものでも、特別なものでも無かったと思う。 学校帰りの私と華(はな)ちゃんに声を掛けてきた、銀色の髪の人。 細い眉毛と、色素の薄い少したれ目な目元が、なんだかアンバランスで可愛く思えた。 口にくわえた煙草も、和柄の効いたデニムも、黒いタンクトップも、別に好みでは無かったけれど。 「ねぇ、暇?」 少し掠れた低めの声は、不思議と嫌では無かった。 ただ、煙草をくわえていても話って出来るんだなって感心しただけ。 「どいてください」 華ちゃんのキツい声に、ちょっと後ろに下がってから、困ったように首を傾げた。 「怒らせるつもりじゃ無かったんだけど」 「別に怒ってませんから」 私の手をぎゅっと掴んで、彼らの前を通り過ぎようとする華ちゃんの手は、じわりと汗で濡れていた。 私はその手の必死さに、やっと目の前の人達が、関わっちゃいけないタイプの人なんだと目を伏せた。
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