6、夏の終わり

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「雪ちゃんもお茶のむ?」 なぜに圭介が、そんな清々しい笑顔を浮かべているのか理解できないんですけど。 さっきのマグカップにお茶を入れて戻ってきた圭介は、ボーッと座る私の隣に座って顔を覗き込むとイタズラっぽい笑顔を浮かべた。 「飲ませてあげよっか?」 ポカッ 言葉よりも先に手が出るとか初めての体験なんですけど。 圭介は、お茶がこぼれないようにバランスを取りながら笑っている。 「だってさ、あのときの雪ちゃんイケメン過ぎて……」 「圭介が飲めないって言ったんじゃん!」 「いやぁ、彼氏として自信なくしたなー」 「もう!お茶飲んだら少しは落ち着くかなって!」 「ときめかせて貰いました」 膨れる私の頬にキスをする圭介は、すっかり調子が戻ったみたいで、まだ衝撃のなかに取り残されている私は、おいてけぼりをくらってるみたい。 なんだか納得いかないんだけど……
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