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「お、お招き預かりまして……」
「プーッ!」
青いクーラーボックスを肩に掛けて、ガチガチに固まった編集長が面白くて、思わず吹き出した私を呆れたようにコツンと小突いたお兄ちゃんは、最初は参加しないと言っていた。
なんで折れたかって?
『お兄ちゃんが参加しなかったら、バーベキューのあと圭介のうちに泊まる!』って私が言ったから。
お兄ちゃんチョロいねーって言ったら、圭介にほっぺをうにっと摘ままれた。
『ハルさん』をバカにしてはいけないらしい。
……そう言うことだよね?
「ねぇ、編集長ってなんて呼ばれたい?あっ、お父さんはなしだよー」
編集長と並んでお肉をひっくり返しながら見上げると、眼鏡の向こうの目がカッ!と見開かれている。
「パパ……」
「断固反対。てめぇが言うといかがわしいんだよ」
食いぎみに否定したお兄ちゃんの言葉に、がっくりと肩を落とす編集長は、黒縁眼鏡がトレードマークのひょろっと背の高い人。
さして特徴がないのが特徴だとお兄ちゃんが言っていた。
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