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リュウさんが手配した人達がいそがしく動いている脇で、圭介と私はぼーっと突っ立っいた。
だって二人ともなんの役にもたたないんだもん。
やっと姿を現した圭介の愛車は、見るも無惨な姿になっていた。
「圭介……」
圭介が、こうなってしまっていたかもしれない。
そう思うと怖くて怖くて、ちょっとだけうさちゃんが嫌いになる。
ううん、うさちゃんは悪くないんだけど……
うん……圭介が無事でよかった……
「圭介……移動どうするの?」
ずっとバイクに乗ってたんだろうに。
「まぁ、どっちにしろしばらくバイクは乗れないしね」
歩くよって笑ってる圭介を見上げて、きっとすごくつらいんだろうなと思った。
お兄ちゃん見てたから分かるよ。
どんなに疲れてても、バイクのメンテナンスしてるときはキラキラしてたもんね。
そして、自分がすっかり薄汚れても、ピカピカになったバイクを前にした笑顔は、やっぱりピカピカしていたもの。
「圭介……」
「引退したし、ちょうどいいよ」
「でも、私圭介の後ろに乗るの好きだよ?」
だからね、いつかまた乗ろうね。
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