11、空の色

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「はい」 圭介に渡されたアイスキャンディの袋を開けていると、圭介も器用に片手と口で袋を開けた。 「開けてあげるのにー」 「フフッ、これくらいできるから」 「……やっぱり、リュウさんの言ってた通りだねぇ」 ケイは甘え下手だから、助けてほしいって言う前に、なんでも自分でやろうとしちゃうんだよー。 だから、姫ちゃんが先回りして甘やかしてやってねー。 って、リュウさんに言われたの。 でも、とろい私がどうやったら圭介の先回りをできるのか、今のところちょっとよく分からない。 今だって、袋からだして渡そうと思ったのに、口で開けた圭介のが早かったんだよ。 「リュウさんがなんて……?」 「内緒だもん!」 今はお口が緩まなかったみたいだから、ここはしっかり私の胸のなかでとどめておこう。 そして、家に圭介がいるうちに甘えたにしてやるんだ!
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