11、空の色

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夕方のだいぶ涼しくなった風が、放っているうちに肩まで伸びた髪を揺らしていく。 一番面倒な長さなんだよね。 でも、圭介に出会ってから一度もハサミを入れてない髪を、バッサリ切り落としてしまうことに抵抗があるだなんて言ったら、笑われるかな? でも、このままロングヘアーになった自分を想像することは出来ない。 いいんだ、きっと華ちゃんみたいのロングヘアーは似合わないだろうし。 そろそろ美容院にいかないと。 「雪ちゃんは短くても長くてもかわいいよ」 「んん?」 アイスキャンディを一生懸命食べているから、お口は緩んでないはずなんだけど。 そんな私を見て、圭介は『当たった』といってニコッと笑った。 少したれ目な目元が、少しどころじゃなく柔らかく緩んでいる。 あれ?圭介って、こんなかわいかったっけ?
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