11、空の色

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「あっ、ほら、お母さんが手振ってるよ?」 「もう!」 結局のらりくらりと教えてくれない圭介の背中をドーンッとぶって、お母さんに走りよった。 「ねぇ!お母さん聞いて!」 「雪ッ!怪我人の圭介くんを殴り飛ばすなんて、そんな子に育てた覚えはありません!」 「えぇー」 ちゃんと手が痛くない方の背中狙ったよ? それに殴り飛ばしたんじゃなくて押しただけだよ? 膨れる私をメッ!って叱るお母さんを、追い付いた圭介が宥めている。 「俺は大丈夫ですから、雪ちゃん怒んないでやってください」 「もう!圭介くんも晴人も、雪に甘すぎるのよ!」 「ぁ……」 「なに!?」 「もうって言ったときの顔が、雪ちゃんと一緒だなーって」 ほっこりするって笑う圭介にほっこりした母と娘は無事和解をして、夕ごはんを食べに家に入った。 なんだか圭介のが一枚も二枚も上手な気がするんだけど。 気のせいかな?
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