1、それは暑い夏の日に

6/43
前へ
/686ページ
次へ
足を早めた私の後ろで、黒雲がむくむくと膨らんだ。 やっと家のドアが見えた所で、追い付いた黒雲から雨と稲妻が降ってくる。 あーぁ、今日は濡れちゃった。 それでも、びしょ濡れって程は濡れなくて、ハンガーに吊るした制服のスカートとリボンも放って置けば乾きそうだ。 Yシャツを洗濯機の前の篭に放り込んで、自分の部屋の窓から外を眺めた。 庭に激しく打ち付ける雨粒は、大粒でなんだか痛そうだ。 芽が出てきたばかりのミョウガや、わさわさしてきた大葉が痛がってないか少し心配になった。 雨なら大丈夫かな? 雹なら痛いよね。 黒い雲を割るようにして下ってくる稲妻は、見てる分には綺麗だと思う。 音さえなければ良いんだけどなぁと、ぼんやり稲妻を鑑賞した。
/686ページ

最初のコメントを投稿しよう!

978人が本棚に入れています
本棚に追加