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圭介と一緒に寝起きすることに、すっかり慣れたある日、二人で並んで防波堤の上を歩いていた。
目の前でキラキラ輝く海面に、カモメがぷかりぷかりと浮いている。
あんな風に浮かべたら気持ち良さそうだなぁ。
沈むのは得意なんだけどねぇ。
「来年の海は泳ぎの練習から始めようか」
「大丈夫ですぅ、浮輪っていう便利なものがあるんだよ?」
「……プールの授業とかってどうしてたの?」
「沈んでた……?」
なんとか浮こうとしたんだけどね、潜水だけ得意になったよね。
すっかり匙を投げられた私は、プールの授業はパチャパチャはじっこで遊んでいるだけ。
「……せめて浮くだけでも…………」
「それが難しいんだよ?
圭介みたいに魚並みに泳げる人には分かんないと思うけどねぇ」
「……分かんないかな」
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