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ぐいっと、圭介を押し退けて、煙草に火をつけたその人の前に正座した。
慌てている圭介を制して、真っ直ぐにその淡い微笑みを浮かべる顔を見つめる。
きっと、綺麗って言われる顔。
涼しげな目元の、中身のない目。
「圭介を、私にください」
こんな人でも、圭介のお母さんだから。
しっかり畳に手をついて、それでも視線は真っ直ぐにその虚ろな穴を見つめた。
「え~それって、お嬢さんを私にくださいってやつ?」
「息子さんだと思うけどねぇ」
「嫌だって言ったら~?」
「じゃあ、言い方変えます。
圭介を貰います」
ニヤッと笑って見せた私を、面白いものを見るように眺めていたその人は、それは嫌かもって小さく呟いた。
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