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「私、今帰るところもないのよ~?」
追い出す気?
そう言うときも、やっぱり浮かべている淡い微笑み。
薄っぺらなそれで、なにを守ろうとしているんだろう。
「ううん、リュウさんに頼んでここに置いてもらったらいいんじゃないかな」
圭介は、うちに連れて帰るから。
ポカンと私を見る、圭介と圭介のお母さんは、顔の作りは似ていないのに驚くほどそっくりに見えた。
うん、好きになれるように、ゆっくりゆっくりだね。
だって、私たちにはまだまだ時間があるんだから。
だから、圭介のお母さん、私と少しずつ仲良くなろうね。
圭介は、仲良くしたくなければ、仲良くしなくていいからさ。
「……かなわないわね」
「……でしょ」
どうやら私のことを言っているみたいだけど、一瞬だけ圭介の肩の力が抜けたように見えた。
直ぐに、また頑なに戻ったけれど。
うん、無理はしなくていいよ。
ゆっくりゆっくり、気が向いたら、ね?
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