14、数年後

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ふと視線を感じて振り返ると、黒留袖を着た母親たちがにこやかにこちらを見ていた。 ……三人並ぶとなんか迫力あるな。 華の母親は、やっぱり背が高くて着物姿も凛と美しい。 俺たちのお袋はちっせぇからな、まぁ……あれを着てれば母親らしくはあるんじゃねぇか? そのお袋は、なにを言ったのかころころと楽しげに、着心地悪そうに帯を気にするケイの母親の肩をひっぱたいている。 ケイの母親とケイは、まだ二人きりでは和やかに話をするって関係ではない。 けれど、雪やお袋を交えれば和やかに団欒できないこともないらしい。 ゆっくりゆっくりだ。 なにも焦る必要はねぇ。 「これで、正式にお前が息子になるんだなぁ」 感慨深そうに呟く一条の親父は、既にアルコールが入ってるのか目が潤んでいる。 ……そのシャンパン何杯目だ? 「いやぁ、華ちゃんも雪ちゃんも綺麗だねぇ」 その隣で涙を拭うのは、陸ちゃんこと一応俺らの親父だ。 まぁ、親父って貫禄は皆無だけどな。
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