14、数年後

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「おにーちゃん」 「あぁ?」 「あっ、濁点がない」 「は?」 「フフッ、お兄ちゃんもかっこいいねぇ。圭介が一番かっこいいけど」 後についた余計なのは聞かなかったことにしよう。 俺よりケイのがかっこいいなんて、ある訳がねぇだろう。 「ケイのあれは地毛か」 「うん、もうずっと染めてないからねぇ。かわいいでしょ?」 「……お前のかわいいの感覚は、おかしくねぇか?」 「えぇーかわいいのに、クリーム狼」 「……なんだかうまそうだな」 脱色して銀色に染めていたケイの髪は、いつしか柔らかなクリーム色になっていた。 痛め付けなくなったからか髪に柔らかな光沢が出ていて、今日は綺麗に撫で付けられているからか、元からわりと甘めの顔立ちだからか、王子さまもどきも何とか様になっている。 ……なんとか、な。
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