1、それは暑い夏の日に

8/43
前へ
/686ページ
次へ
銀色の髪の彼と、再会したのはそれから1週間くらい経った放課後の帰り道のことだった。 華ちゃんが部活で、帰宅部の私は一人で帰る日。 ペロリと舐めた冷たい水色のアイスキャンディは、華ちゃんの次に夏の私の大親友。 かじっちゃうけど。 ザクザクキシキシと、食べてるときに口のなかが楽しいのも好きな理由。 ふと視線を泳がせると、ツバメが低く飛んでいた。 空にはまだ黒雲は押し寄せていないけれど、どうやらそれも時間の問題みたいだ。 夏のうだるような日差しが、私を溶かそうとしている。 みるみるうちに溶けていくのはアイスキャンディ。 そのアイスキャンディを、けっこう真剣にかじりながら公園の前に差し掛かった。 ちょうど公園から出てきた親子連れ、小さな子がお母さんを見上げながら聞いている。 「ママ、あんなとこで寝んねしてたら、蚊にチクッてされちゃうよねぇ」 「そうね。チクッてされちゃうね」 どんな所で誰が寝てるのかなって思ったのは、間違いなく好奇心。 そろそろ雨が降りますよって、教えてあげようか?
/686ページ

最初のコメントを投稿しよう!

978人が本棚に入れています
本棚に追加