プロローグ 

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   今日は、これを読もうか。  ……ああ。机の上に、空想科学読本の新刊が置いてある。相変わらず「私」はこれが好きなのか。 「……ふふっ」  ジップシャツの少年は笑う。「私」のやつ、「ボク」に読ませる為にわざと机の上に置いたな。「私」には悪いけれど、今はこっち。オンライン小説をわざわざ印刷して、ファイルにまとめたもの。空想科学読本は、これを読んだ後にじっくり読むとしよう。どうせ「ボク」は学校に通っていないし、仕事もしていない。時間はたっぷりあるんだ。  ……といっても、そろそろ「私」の帰宅時間だ。今日も学校からそのままこっちに来るだろうし、紅茶の茶葉の準備をしておこう。そういえば、学習園はそろそろハイビスカスが咲く頃だ。初めてのハーブだけれど、それもブレンドして。  「ボク」は指を鳴らして、持っていたホンを「二次創作」の棚に飛び込ませると、図書室のドアを開けた。    さて。今日はどんな「何でもあり」がこのハコの中で起こるだろうか。    
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