第1章

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 スリッパを振り上げ何かを凝視する彼女。  目をつり上げ鬼気迫る表情は、まるで〝鬼〟だった。  そして、彼女の口から発せられる。 「テメェ、どこから出てきやがった!!」  聞いたことのないドスの利いた声音。  一瞬耳を疑ったが、ここには彼女しかいない。 「ったく、性懲りもなく出てきやがって。今日こそ根絶やしにしてやる」  そう言って、振り上げたスリッパを勢いよく床に叩き付けた。 ――パシーン!  乾いた音が台所に響き渡る。  そして、そっとスリッパを持ち上げた彼女が、満足そうにニンマリと口許を歪めた。
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