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「さて、三秒やるからその内に出てこい。今すぐその姿を見せれば手荒な真似はしない」
そう告げ、一息つくと芝狸は数を数えだした
「一」
反応はない
「二」
物が飛び回る状況から何も変化が見えない
「三…」
いよいよ三秒が経過した
しかし変わらずの状況だった
「時間切れだ……。ごめん光恵ちゃん…」
溜め息まじにり何故か光恵に謝る芝狸だったが、その直後光恵には思いもよらぬ景色を目の当たりにする
それは光恵自身の首を掴み持ちあげる芝狸の姿だった
瞬間、首の痛みと共に意識を失う光恵
「出てこいクソヤロー…」
そして気を失ったはずの光恵の口から男のうめき声の様な声が聴こえてきた
「…グゥアア……」
「苦しいだろ…?出てこなければこのままお前は地獄行きだ…」
霊を追い詰めているはずの芝狸だったが、額に滝の様な汗を浮かべながら険しい表情にさらに力が入る
同時に周辺の物々が次々と芝狸に襲いかかる
「…グググ……」
ぐったりと全身の力が抜けている光恵の口からは相変わらず苦しそうな声が漏れる
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