第3章「悪霊」

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「お前に二つ選択肢をやる。俺の霊力の一部となるか、地獄へいって苦しみ続けるか…どちらか選べ」 「…………」 芝狸の問いに沈黙してしまう[ソレ]だったが、間もなくして答えを投げ掛けた 「……ドチラニモ…シタガワヌ……」 「なら地獄へいけ」 芝狸は身の芯から凍えてしまいそうな眼光で睨み付け、冷静だがそこには無情さを感じられる口調で吐き捨て[ソレ]を握り潰した [ソレ]は再び不気味な雄叫びをあげながら跡形もなく消え去った 「ふう……」 思わずその場に座り込んでしまう芝狸 間もなくして光恵が目を覚す 「……ゲホッゲホッ!」 否や首もとを抑えながら苦しそうに咳払いを始めた 「……大丈夫か?…すまない事をしたね……」 芝狸は光恵の側へ寄り添い、背中をさすってみせた 「入っていいよ…」 その言葉に夏子が扉を勢い良くあけ、うずくまりむせる光恵を見つけ駆け寄った 「だ、大丈夫!?」 「う、うん………大丈夫……ありがとう」 落ち着きを取り戻した光恵は、まだ入らない力を精一杯振り絞り、笑顔で夏子にそう答えた --------------------------
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