16人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前に二つ選択肢をやる。俺の霊力の一部となるか、地獄へいって苦しみ続けるか…どちらか選べ」
「…………」
芝狸の問いに沈黙してしまう[ソレ]だったが、間もなくして答えを投げ掛けた
「……ドチラニモ…シタガワヌ……」
「なら地獄へいけ」
芝狸は身の芯から凍えてしまいそうな眼光で睨み付け、冷静だがそこには無情さを感じられる口調で吐き捨て[ソレ]を握り潰した
[ソレ]は再び不気味な雄叫びをあげながら跡形もなく消え去った
「ふう……」
思わずその場に座り込んでしまう芝狸
間もなくして光恵が目を覚す
「……ゲホッゲホッ!」
否や首もとを抑えながら苦しそうに咳払いを始めた
「……大丈夫か?…すまない事をしたね……」
芝狸は光恵の側へ寄り添い、背中をさすってみせた
「入っていいよ…」
その言葉に夏子が扉を勢い良くあけ、うずくまりむせる光恵を見つけ駆け寄った
「だ、大丈夫!?」
「う、うん………大丈夫……ありがとう」
落ち着きを取り戻した光恵は、まだ入らない力を精一杯振り絞り、笑顔で夏子にそう答えた
--------------------------
最初のコメントを投稿しよう!