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透の足が止まる。
振り向いて部屋の中を除くと、珠理子は何も言わなかったかのように『収納作業』をしていた。
「やだぁ、お母様。また、おじいさまに言い付けるのですか?」
箱から取り出したばかりの真珠のネックレスを右手に持ち、百合愛が、口に左手を当て、わざとらしく言ってみせた。
二人はクスクス笑いをし、再び作業に没頭した。
透は、ペルシャの暖色系のじゅうたんが引かれた細長い廊下を歩き、自室へと向かった。
「……くそ!この、シロアリ女が!」
小声で呟いた。
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