序章

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「それにしても、お気の毒ですね」 ベットのそばに立つ看護師の希美(のぞみ)は、暗い表情で、静かに言った。 「この間、長女の百合愛さんが、お亡くなりになったばかりだというのに…。彼女がお亡くなりになって、まだ数ヶ月ですよね」 「はい……」 小笠原 (おがさわら とおる)は、精一杯、悲しげな顔をし、目の前のベットで仰向けになっている女性の顔を見た。 たった今、息を引き取ったばかりの妻・珠理子(じゅりこ) だ。
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