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「もう、良いんです・・・」
透は、ハンカチを口に当てた。
「私は今、立て続けに妻子を失ったという現実を受け入れるだけで、精一杯なんです。
たとえ、妻がなにかの事件に巻き込まれて死んだのだとしても、
犯人のことまで考えられる余裕はありません。いまはこれ以上、他のことを考えれる気力がないのです。
そのお気遣いだけで十分です。申し訳ありません」
「そ、そうでしたか。それはすみませんでした…!」
希美は頭を下げ、急いで病室を出て行った。
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