第3章

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「それが、今でも解決してへんのや。残念な事にな」 「そうなんですか」 二人はホテルを出て、タクシー乗り場に向かっていた。 「せやから、小笠原はん。元気だし。里見社長も言っとったやろ。安西桐子の書く記事なんて、誰も信じてへん。訴えるだけ裁判の費用がムダや。むしろ、そんな記者の書いた記事を間に受ける経営者だと言うアホな目で見られ、小笠原はんのほうが馬鹿にされるで。そんな記者なんや、安西は」 大蔵はタクシーに乗り、窓越しに言った。 「ありがとうございます。桐島社長。おかげで、とても元気付けられました」 透は、笑顔で一礼をした。 その笑顔は、多くの人が知るいつもの爽やかな透だった。
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