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職員室にクーラーは設置されている。
だが節電で、コンセントすらささっていない。
小さい扇風機と窓から入ってくる風、そして冷たい飲み物でどうにかやっている。
暑いけれど、まだ耐えられる範囲だ。
だから別にそれはいい。
しかし今目の前で、
放課後まで禁止されている筈の購買の物以外の買い食いをしている益田に俺はイラついていた。
「……おい」
「あ、せんせー!」
俺が声をかけると、嬉しそうに笑った。
奴が手に持っているのは、学校近くのコンビニで買ったであろう、かき氷。
……旨そうだな、おい。
見せびらかしてんじゃねーよ!
俺の怒りはそこに向かっていた。
『買い食い禁止だ』
そう言って、反省文の10枚でも書かせてやろうか。
……そんなに書く事があるとは思えないけど。
そう思っていたのに、
益田はスプーンで氷を掬い、それを俺に突き出し、こう言った。
「暑いですよね、一口食べます?」
冷たい飲み物を用意していると言っても、家から持ってきたマグの中身はすでに空。
職員室の冷蔵庫にも、氷と麦茶が入っている。
だけど、大体作り途中の物だ。
涼をとるにはちょっと物足りない。
だから、
……正直、食べたい。
いやいや、でもな。
顔には出さずに葛藤していると、スプーンは益田の口の中に。
……旨そうに食べるな、コイツ。
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