4.暑い

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益田が話しかけてきて、 しかし俺はそれを半分聞き流す。 しょうがないだろう?疲れてるんだ。 「あーもー。 先生ちゃんと聞いてます?」 「はいはい、聞いてますよっ……?!」 おざなりに返事をしていると、突然、首筋にヒヤッとした感触が。 益田が、かき氷の入ったカップを俺の首に押し当てたようだった。 「あははっ、びっくりしました?」 笑いながら俺の顔を覗き込む益田。 が、すぐに怪訝な表情になった。 「せんせー……?」 俺の異常に気が付いたんだろう。 一体何が起こったのかというと、 冷たさに驚いた俺は、床に着いていた指先に変な力を入れてしまった。 ぐきり、と嫌な音はきっと俺の脳内に響いただけだろう。 悪くても、軽い突き指。 だけれど痛みはまだ続いている。 「指、痛めちゃいましたか?」 ちょっと眉を下げ、彼は俺を見ている。 「いや、大丈夫だ。大した事無い」 そう言いながら、俺も彼を見返す。 「すみません、驚かせて……」 珍しく落ち込んでいる様子だ。 そう思ったのもつかの間、何かを思いついたようで、下げ気味だった顔を上げた。 「そうだ!冷やした方がいいですよね!」 「……大丈夫だ」 コロッと変わった表情が今度は張り切っているようだから、俺はもちろん遠慮した。 「駄目ですよ、ちゃんと手当てしないと」 そう言った益田は、まだ残っていたかき氷を口に含んで、 それから俺の手首を掴んで、指も口内へ。
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