371人が本棚に入れています
本棚に追加
呆然としている間にその行為は終えられ、抵抗さえする間もなく離れていった。
「今の、は……」
何だ、何の意図を持ってして、彼は今俺に触れていた?
「それこそ、愛情表現に決まってるじゃないですか」
やだなぁ、と俺の頬を撫でる益田。
その台詞は俺の物だろう?
片手が離され、拘束が緩んだ。
その隙にやっぱり、
「ふざけるんじゃない!」
頭に平手をお見舞いする。
何のダメージも受けていないように見えるけど、大人しく離れていった。
だからまあ、これ以上は何もしない。
さっきの感触も離れるよう、頭を振りながら立ち上がった。
「それで、どうしてこんな事するんだ?」
「だから、愛情表現ですよ」
まだ解ってもらえませんか?って、理解できるはずがないだろう。
「だから、その理由はなんだ」
「好きだからに決まってるでしょう?」
言葉と共に体を押され、今度は壁へと押し付けられた。
そして再び、彼の唇も触れてきた。
またすぐに離れて、だけれど顔は近いまま。
吐息が感じられる程の距離で、益田はまた俺に告げる。
「好きなんですよ、先生の事」
言って、表面よりも熱い、舌が唇をなぞった。
最初のコメントを投稿しよう!