5.冷たい床と、天井と教え子

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呆然としている間にその行為は終えられ、抵抗さえする間もなく離れていった。 「今の、は……」 何だ、何の意図を持ってして、彼は今俺に触れていた? 「それこそ、愛情表現に決まってるじゃないですか」 やだなぁ、と俺の頬を撫でる益田。 その台詞は俺の物だろう? 片手が離され、拘束が緩んだ。 その隙にやっぱり、 「ふざけるんじゃない!」 頭に平手をお見舞いする。 何のダメージも受けていないように見えるけど、大人しく離れていった。 だからまあ、これ以上は何もしない。 さっきの感触も離れるよう、頭を振りながら立ち上がった。 「それで、どうしてこんな事するんだ?」 「だから、愛情表現ですよ」 まだ解ってもらえませんか?って、理解できるはずがないだろう。 「だから、その理由はなんだ」 「好きだからに決まってるでしょう?」 言葉と共に体を押され、今度は壁へと押し付けられた。 そして再び、彼の唇も触れてきた。 またすぐに離れて、だけれど顔は近いまま。 吐息が感じられる程の距離で、益田はまた俺に告げる。 「好きなんですよ、先生の事」 言って、表面よりも熱い、舌が唇をなぞった。
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