2.補習授業

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「……なんでだ?」 軽く、テストの答え合わせ、 そして解答の説明をしてからプリントを渡し、用事を思い出したので一旦職員室に戻った。 再び教室に来るまで、その間約、10分程。 戻ると、益田はすでにプリントを終わらせていた。 採点してみると、その出来は、明らかに赤点を取る奴のものじゃない。 どの問題も、テストとは別の物なのに。 ……つまりは、 「わざとなのか?」 そう問うと、益田はいい笑顔で頷き、言った。 「だってそうすれば先生と、2人きりになれるじゃないですか!」 ……駄目だ、コイツ。 「なあおい、それだけでわざと赤点とか明らかに損しかしないだろ?!」 「損なんて何も無いじゃないですか!」 俺の叫びに益田もまた叫び返し、そして俺に詰め寄り、やっぱり叫ぶ。 「今回の期末じゃないし、そっちで挽回すれば取り返しはつくし、補習授業って先生がつきっきりだし!俺にとっては得しかないですよ!」 最後には襟首掴んできて、訴えかける瞳は、近距離だ。 そしてそのまま、さらに彼との距離は近づく。 鼻先が触れそうになり、そこでふと、俺は思った。 まさか、キスされる?
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