2.補習授業

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思わず、俺は目を閉じた。 ……そのまま数秒。 何も起こらないままなので、恐る恐る目を開けると、目の前には変わらず、益田の顔。 顔、が、やたらと赤くなっていて、唇がわなわなと震えていた。 そして俺の視線に気が付いたのか、手は離され、顔も離れていく。 ……気分でも悪くなったか? そう思って声をかけようとした瞬間、奴は再び叫んだ。 「先生のキス顔ゲットー!!」 「……は?!」 「あ、でも記憶にしか残らねえ!! 先生、もう一回目、瞑ってください!」 そう言って携帯を構える益田の頭を、 拳骨は流石にまずいから、開いたままの手で思いっきり叩いた。 「補習終わり!さっさと帰れ!」 言い終わってもう一発。 しぶしぶ鞄を持ち、教室を出た彼を見て、ようやく俺は一息ついた。 ……なんで俺、目をつぶった。 どうして、抵抗しなかったんだ。 彼が解らないけど、俺自身も意味が解らない。 でも今度は、相談するのはやめとこう。 絶対、碌な意見が貰えないから。 そして俺も、職員室へ向かった。
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