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翌日から橘コーチは、練習メニューにそって指導を開始した。
練習は、まずストレッチを行って体をほぐし、その後ランニング、階段駆け上がりが行われた。
ランニングと階段駆け上がりの練習が、毎日何日も繰り返された。
雨の日は、スポーツクラブに連れて行かれ、室内でマシンを使った筋力トレーニングを行った。
主に、足の筋力トレーニングが行われた。
橘コーチは、私にテニスラケットを握らせてくれなかった。
毎日同じ練習の繰り返しで、さすがの私もだらけてきた。
ある日、こんな私を見て、橘コーチが激怒した。
「若林、何やってんだ。
手を抜くな!
きちんとやれ!」
正直、怖いと思った。
顔はかわいらしい感じの橘コーチの口から、まるで想像がつかないような罵声があびせられたのである。
橘コーチの指導は、日増しに厳しさを増した。
「だらだらやるな!
もっと早く走れ!」
私に対する罵声も、だんだん厳しくなっていった。
私は、
(あんたは男か?)
と心の中で叫んでいた。
でも、とても怖くて、口に出しては言えなかった。
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