最後のメッセージ

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今日は水曜日… 私は練習後、帰宅する橘コーチに声をかけた。 「よろしければ、今日一緒に帰りませんか?」 橘コーチが、ビックリしたような表情を見せた。 「めずらしいね。  若林が声をかけてくれるなんて。  今日は行かなきゃならないところがあるんだけど、一緒に行く?  若林が一緒に行ってくれると、喜んでくれる子がいるんだけどね!」 私は、おばさんから聞いた、下半身が不自由な女の子のことかな…と思った。 「いいですよ」 私は、快く答えた。 橘コーチの車に乗せてもらい行った場所は、福祉施設だった。 橘コーチは、手慣れた様子で、私のスリッパを用意してくれた。 「これに履き替えて、靴はそこの下駄箱に置いて。」 橘コーチに言われるがまま靴を履きかえて施設に入った。 施設の中の娯楽ルームで、何人かの子供たちが遊んでいた。 子供たちの中に、車いすに乗った女の子がいて、橘コーチがこの車いすの女の子を私の近くまで連れてきてくれた。 橘コーチが紹介してくれた。 「この子の名前は美優(みゆ)ちゃん。  若林の大ファンだよ!」 私は、美優ちゃんに挨拶した。 「はじめまして、若林です。」 美優ちゃんもはずかしそうに挨拶してくれた。 「はじめまして」 私は、ひざまずいて握手をしようと手を差し出すと、美優ちゃんは嬉しそうな顔をして手を差し伸べてくれた。 私は、体が不自由で、私のことを応援してくれている小さなファンがいることを知った。 このファンのためにも頑張らなくては…という思いが強くなった。 私は、福祉施設で子供たちと遊んで、久しぶりに楽しい時間を過ごすことができた。
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