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今日は久々に彼女とのデートだ。彼女は若草色のワンピース、俺は薄緑のシャツにジーンズと緑でそろえている。
いつもと彼女の髪型が少し違うせいか、どこか新鮮でちょっとかわいく思った。
今日のデートコースは、公園で散歩。その後レストランで食事して映画を見る予定だ。
公園は様々な花が咲き乱れていて、とてもきれいだ。なのに、花を見ている時間よりも、彼女を眺めている時間の方が長い気もする。
俺の目には、それほど彼女が魅力的に映っていた。
そろそろ太陽が真上にまで昇り、レストランに行こうかと思った時だった。ぽんっという音と共に、声を掛けられた。その声音は子供のように高くかわいらしい。
「ユミ、大変だノ! 悪の妖精が現れたノ!」
その声とともに現れたのは手乗りサイズのぬいぐるみと思わしきものだ。思わしき、と言っているのはそのぬいぐるみがほわほわと浮いているうえに、喋っているように見えるからだ。
あ、ちなみに、ユミというのは俺の彼女の名前だ。
「ちょっと、今日は出てこないでって言ったじゃない」
「ユミ、それどころじゃないノ。もうすぐここに悪の妖精が来るノ」
「そんなん知ったことじゃないわよ。とっとと消えて」
「ユミ、戦うノ!」
俺が茫然としている間にも彼女とぬいぐるみの話は進む。
ぬいぐるみの存在を当り前のように受け止めているところを見ると、彼女とぬいぐるみはどうやら知り合いらしい。
「ユミ、変身だノ!」
ぬいぐるみがそう言うと、彼女は右手を掲げて叫んだ。
「もういやぁ!――“ピュア・チェンジ!”」
彼女はいやいや、というか無理矢理叫ばされているような感じだ。ぬいぐるみに操られているのだろうか?
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