黙っていたうさぎ

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 翌日、村では盛大な出発式が行われました。  くまさんを含む派遣隊のメンバーは、隣村の派遣隊と合流して森に向かいました。森の手前まで来ると、一緒に宿営地を作りました。  そして、隣村の派遣隊は危険な人間が多い東の森へ、くまさんがいる派遣隊は鉄砲を持つ人間が「いない」と言われる西の森へ、それぞれ入っていきました。  西の森には食べ物がたくさんありました。くまさんたちは、張り切って、たくさんの木の実や、葉や、畑に植えられそうな種を見つけては、持っていたカゴに入れました。  やがて、全員の持つカゴが一杯になったので、宿営地に戻ることになりました。  その時、木の陰から人間が一人、現れました。西の森の派遣隊は初めて人間と遭遇して大騒ぎになりました。  くまさんが大声で叫びました。 「人間は大したことできないよ!僕があいつを驚かすから、その間にみんなは取った食べ物を持って先に行ってて!」  くまさんは、人間のほうへ走っていきました。数メートルのところまで近づいた時、立ち上がって、得意のポーズをとりました。  ガオー!  西の森全体に、重い金属的な音が二回、響き渡りました。
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