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【SV2】蕾に水を【SWD】
新緑の眩しい森の中を、草木を踏みしめながら歩く。
昨日図書館で会った女性は、菫の館の従者と言った。
順番を譲ってもらった手前、そう待たせるわけにはいかない。
ロゼは図書館から借り出した本を一晩で読み終え、その足で目的地へ向かっていた。
つまるところ、徹夜である。
(…いた)
目的の場所、避暑地の中で菫の館にあてがわれた別荘の近くまで来ると、ちょうど中から人が出てくるところだった。
シェンメイと名乗った昨日の女性ともう一人、深い緑の髪の女性。
従者として完璧にふるまうシェンメイの姿から、ロゼはそれが菫の館の主だと察する。
「やあ、ずいぶん早かったんだね」
主を丁寧に送り出した後、シェンメイはロゼに声をかけた。
森の中、まだ距離があった位置にいたにも関わらず、よく自分に気付いたものだとロゼは歩み寄る。
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