第1章

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【SV2】蕾に水を【SWD】 新緑の眩しい森の中を、草木を踏みしめながら歩く。 昨日図書館で会った女性は、菫の館の従者と言った。 順番を譲ってもらった手前、そう待たせるわけにはいかない。 ロゼは図書館から借り出した本を一晩で読み終え、その足で目的地へ向かっていた。 つまるところ、徹夜である。 (…いた) 目的の場所、避暑地の中で菫の館にあてがわれた別荘の近くまで来ると、ちょうど中から人が出てくるところだった。 シェンメイと名乗った昨日の女性ともう一人、深い緑の髪の女性。 従者として完璧にふるまうシェンメイの姿から、ロゼはそれが菫の館の主だと察する。 「やあ、ずいぶん早かったんだね」 主を丁寧に送り出した後、シェンメイはロゼに声をかけた。 森の中、まだ距離があった位置にいたにも関わらず、よく自分に気付いたものだとロゼは歩み寄る。 →本文へ
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