彼女の憂鬱

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しかし、 誰がそんな噂を流したんだろう。 そればかりが気になって 1時間目の国語は 全く耳に入ってこなかった。 2時間目は西原の数学だ。 そう気づいて少し身構えたが、 教室に入ってきたのは担任の倉田だった。 「えー。この時間は自習になります。」 「うそ?ヤッター!」 ほっ、とするのと同時に 疑問が浮かんだ。あの丈夫な西原が自習にさせることは今までなかったのに、なぜ。 「先生」 「なんだ、佐藤。」 廊下で倉田を呼び止める。 「西原先生どうしたんですか?」 「ああ。ちょっと連絡がつかなくてな。まあ心配しなくていいぞ」 「あ、はい」 小走りに職員室に向かう倉田の背中をみながら、漠然とした不安を感じた。
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