彼女の憂鬱

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部室の前には、 集まった部員と、大量のネットがみえた。 緑のネットと、茶色いネットが、ある。 茶色? (えっ・・・) 気づいて青ざめた。 血の色だ。 隙間からみえているのは青井の顔。 倒れた支柱と絡まるネットの下敷きになっている。 「救急車!早く!」 「青井先輩ッ!」 悲鳴を上げる。 先生たちが走ってくるのが見えた。 下敷きになった青井が、呻き声をあげる。 「あ、足が・・・。」 ネットをどかし続けていた部員が青ざめる。支柱で、足が潰れている。赤茶色い塊が見え、ヒッと、目を背けた。 「ううっ」 青井は失神したようだ。 (救急車早く!早く!) 無力感を感じながら、何もできない時間だけがただ過ぎていった。
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