彼の憂鬱。

2/10
前へ
/75ページ
次へ
彼女の様子がおかしい。 青井は悩んでいた。 梅谷怜奈とは、中学からの付き合いだ。容姿端麗で気もきく、わがままも言わないし、一緒にいて自慢もできる彼女だ。 おっとりお嬢様タイプの彼女が、昨日の帰り道、急に 「うそつかないで!」 とヒステリックに叫んだことに驚いた。 おとといは部活だったの? という問いに対して答えただけだ。 練習メニューを話したら納得はしていたようだが・・・、なぜあんなことを言っていたんだ。 そして今、 「今日は部活休んで一緒に帰って」 とメッセージを受信した。 既読をつけるのをためらう。 昨日の今日で、この流れだとまたヒステリックになるかもしれないが・・・。 少し悩んでから、 「もう部室。大会前だから無理だよ。怜奈も練習に参加するだろ?」 そう答えた。 すぐさま既読がつく。 「もういい。」 (大丈夫かな。) ひとつため息をついてから、今日の練習メニューを、部活のボードに書き始めた。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加