Date.00 使命

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  「別に研究ができるなら、どこだって構わないわ」  中川の左隣でそう言ったのは、唯一の女性、渡辺 真理(わたなべ まり)。  冷笑を浮かべる横顔も、その本性を知らなければとても魅力的だ。  彼らよりも数メートル先頭にいた東雲氏が、クリーム色の外壁をした屋敷へ向かって足を運ぶ。  そして、棟続きの左側にある玄関のドアを開けて振り返り言った。 「どうぞ、中に入ってくれ」  ふと生じた疑問に私は足を止める。  こんな郊外の山間に、ましてやこんな広い屋敷に彼1人でいるはずがない。 「ここには、お1人で?」  
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