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案の定、その疑問は口をついて出ていた。
「……いや、妻と娘と、あと息子がいる。家族には、君たちが来ることを伝えてある」
やはりといった気持ちが心中に渦巻く。
ただ、東雲氏はそのことをあまり意に介さない様子だ。「さぁ」と促され、皆、屋敷へ向かって歩き始める。
私も彼らの後を追い、止まっていた足を前へと押し出した。
私が東雲製薬の内部を探る為に潜入していることは、決して気づかれてはいけない。
決意も新たに屋敷へ足を踏み入れたその時、
「もしかしたら地下とかあって、そこにとんでもねぇ秘密があったりして。なァ、仁井田さん」
いきなり話を振られ、心臓がどきりと跳ね上がる。
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