Date.00 使命

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 『秘密』その言葉と、彼のからかうような視線がまるで全てを見透かしているみたいで、一瞬だが返答に困る。  そう。今の私は、新田ではなく仁井田 健(にいだ たける)。 「……まさか。冗談はよしてくださいよ、六野さん」  私は乾いた笑みで、なんとかその場を凌(しの)ぐ。  この、私に話しかけてきた、チームでも最年長の男は六野 康博(りくの やすひろ)。  齢(よわい)50は越えているだろう彼が、なぜ今回のプロジェクトに加わったのかは謎だ。  中央には、2階へと続く大階段があった。内装も目立っておかしなところはなく、至って普通の屋敷である。  時刻は昼過ぎのこと。  
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