179人が本棚に入れています
本棚に追加
『秘密』その言葉と、彼のからかうような視線がまるで全てを見透かしているみたいで、一瞬だが返答に困る。
そう。今の私は、新田ではなく仁井田 健(にいだ たける)。
「……まさか。冗談はよしてくださいよ、六野さん」
私は乾いた笑みで、なんとかその場を凌(しの)ぐ。
この、私に話しかけてきた、チームでも最年長の男は六野 康博(りくの やすひろ)。
齢(よわい)50は越えているだろう彼が、なぜ今回のプロジェクトに加わったのかは謎だ。
中央には、2階へと続く大階段があった。内装も目立っておかしなところはなく、至って普通の屋敷である。
時刻は昼過ぎのこと。
最初のコメントを投稿しよう!