日常に潜むもの

5/11
前へ
/287ページ
次へ
「カツ様に言ってやろぉ」 「やだぁ! 鈴! だめだって!  『ラビア』のモンブラン奢るから!   カツ様には、言っちゃダメ!」 「仕方ないなぁ~。 『ラビア』の高級モンブランなら…  あっそうだ! カツ様も誘ってみようよ!」 「カツ様ぁぁ~~  来週さ、お店の前に『ラビア』の  モンブラン食べない?」  鈴が洗い物をしているカツを呼ぶ。 「いいねぇ。『ラビア』のモンブラン、  俺も好きだよ」 上品に切れ上がった大きな瞳が、 目尻が下がると同時に醸し出される優しい表情。 この極上のギャップが女の子達に 至福を与えるのだろう。 「来週絶対だよ! 絶対!」 二人が揃って黄色い声を上げる。 パッツン前髪で黒髪のボブ。 童顔で高校生にも見えてしまいそうな 顔立ちに大きな目。 まさに男の子が好きそうな雰囲気を 醸し出しているのは園子。 金髪のロングヘアーに少し焼けた肌が 特徴的なハワイアン美人の鈴。二人は金曜日の常連客。 二人も、カツさんが大好きらしい。 世の中は、不公平。 私も不細工って訳じゃないのに、 何が違うんだろう。 この二人はいつでも幸せそう。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加