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「ん?」
三日月みたいに細められた綺麗な瞳。
「明日は休みでしょ? 俺の家、くる?」
「え? カツさんの家ですか?」
カツさんの顔が見られない。
鼓動が早くなるのが分かる。
これは、夢なのだろうか。
カツさんのお家に行くってこと?
でも、その先は…
付き合うってこともあり得るのだろうか…
カツさんがゆっくりと席を立ち、
帰る準備を始めた。
「グラスはそのままでいいよ」
カツさんがまた、席の方に近づいてきた。
「せっかく、カツさんが作ってくれたお酒が…」
『わっ!!!』
突然の出来事に、
心臓が破裂しそうになった。
私を優しく包む、甘い香り。
温かい息が耳許にかかる。
私は今、カツさんに抱き締められている。
どうしてこんな事になったのだろう。
夢でも見ているのだろうか。
耳元で心地よい低音が響く。
「里子ちゃん… 行こう?」
「あの…は、はい…」
もう、何も考えられない。
このまま死んじゃっても良いかも。
「里子ちゃんの願いを叶えてあげる」
グッと強く腕がしまった後、
腕が離れ、大きな掌が私の髪にそっと触れた。
店を閉めて、
カツさんの家に行くことになった。
アルコールのせいなのか、
胸のトキメキのせいなのか、顔が熱っている。
着いたのは、港区の住宅街。
高級そうなマンションに緊張する。
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