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「・・・・・・あっれ?」
「どうしたぁ、真央」
「ん・・・・自転車の鍵が無くって・・・さっきカバン落とした時に転がり出ちゃったのかなぁ」
「えーどうする、ヤバイじゃん。早く見に行ったほうがいいよ、もうじき暗くなったら探せなくなるよ」
「そうだよねぇ・・うん、行って来る。沙織、先に帰ってて」
「一緒に行こっか? 探すの手伝うよ」
「いいよいいよ、大きいキーホルダー付けてるし、あればすぐに分かるだろうから。先に帰ってて」
「そう? じゃあ先に帰るね、お疲れバイバイ」
「うん・・バイバイ」
友人の背中を見送った真央はクルリと体の向きを変えて、先ほどまで部活動に励んでいた潟のある公園に向かった。
「ロッカーからバッグ出した時はあったから、きっとあそこだ・・うん」
30分前の出来事を思い出しながら真央は園内に設置されたベンチの周りを探ってみたが、キーホルダーは見当たらない。
「あっれ? ここでしかバッグ広げてないのになぁ・・・どこかに飛ばしちゃったかなぁ・・・」
ベンチの周りの草むらを手で掻き分けてみても真央のお気に入りのゆるキャラキーホルダーは見当たらなかった。
「どこだぁ・・・おーい出てきてよぉ」
「どうかしましたか?」
夢中になって下ばかりを探していた真央の手元に光が差した。
自転車に乗った男に声をかけられて、真央はしゃがんだ姿勢のままで顔を上げた。
「自転車の鍵を無くしちゃって・・・」
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