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邑はアドルフに先程の光景を話しました。
「それはおそらく君の異能力だよ」
「異能力?」
「この城に来ると必ずと言って良いほど、ここに来る前は使えなかった異能力が使えるようになるんだよ」
「あれは俺の力ってこと?」
「その様だよ」
「でも一体なんの能力なんだ?」
「分からないが……取りあえず君はやたらにあっちこっち触らない方がいい、今のように呆け出した時に妨害者が現れたら逃げられないからね」
「はい」
幸は手のひらをぽんっと合わせた。
このポーズはおそらく何かを思い付いた時の合図のようだ。
邑は嫌な予感しかしてないようで、ため息を吐いた。
「そうだ~! 手袋でもしてみたら?~」
「手袋なんてどこにあるんだ? 出れないのにコンビニで買ってくるとか?」
「うんん~、さっき小物が置いてあった場所に白い手袋があったんだ~」
幸はそう言うと先程の小物が置いてあった場所に行き、小物の中から手袋を持ち帰ってくる。
手袋はまだ袋から出していない新品だ、それを幸が出し邑に手渡した。
邑は照れくさそうにそっぽを向いた。
「ありがとう……悪いな」
「どういたしまして」
「では、探索を始めようか」
にっこりとアドルフが笑った。
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