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支援者。
城の廊を歩いていると何処からか猫の鳴き声が聞こえた。
たまにちらつく白いフワフワな毛、それにとても似合う赤いリボンに飾られた青いバラ。
「ねぇ~……邑……あの猫って霧雨……」
「そんなはずはない。 霧雨は3年前、死んだんだから……幸も一緒に看取っただろ」
「でも……」
「気を付けて、寂しくて君達を自分の所に止めたいのかも」
アドルフは邑と幸には振り向かず立ち止まりそう言った。
「そんな~……」
「とりあえず用心しよう」
「でも~」
「いいな、幸」
「うん~……」
幸は名残惜しそうに来た道を振り返る。
すると幸は邑にてを捕まれ、すごい力で引っ張られ近くの部屋に入った。
「どうしたの~?」
「しっ! 静に!」
幸は状況を把握していなかったが、邑のあせる顔で静にしようと決めた。
幸が静になったのを確認した邑はドアを少し開け、幸に今の状況を教えた。
「あれって……アドルフさんの言っていた妨害者?」
「そうらしい……」
廊下を歩いていたのは背広を着た成年だ。
首には痛々しいロープの後がくっきりと見えている。
ドキドキとしながら立ち去るのを待っていた邑と幸だが背後……自分達のいる部屋から何かが割れる音が聞こえた。
その音に驚いて邑と幸は少し空いていた扉を押してしまい、背広を着た成年と顔を会わせてしまった。
「ヤバイ……」
「どうしよう……」
邑は瞬間的にアドルフの居るところまで移動したが、幸は腰が抜けたのか動けないでいた。
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