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翌日から晴れた。 空はすっきりと高く、日差しは強いが吹き抜ける風は秋のものになっていた。 どこかの作家と違って、晴れようが雨だろうが俺には関係ない。 いつも変わらず、一日の仕事は豆の焙煎から始まる。 焙煎した数種類の豆はブレンドして、お客だけでなく契約している飲食店にも販売していた。 喫茶「南風」は、週二日定休日があり、営業時間は十一時から十八時で、メニューに軽食はない。 経営が成り立っているのは、店舗での売り上げよりも豆の販売に依るところが大きかった。
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