第1章

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「ハァハァ……」  真っ暗闇で何も見えない空間のなか。  聞こえる息遣いはとても荒く、聞いてても良いモノじゃなかった。  わたしは力が入らないこの腕で重たい『布団』をどけるとその隙間から、すうーーっと、入ってくる空気は新鮮でとても解放感があった。 「ハァーー。 スッキリした! やっぱり、風邪で潜るのは良くないわね」    風邪で暇を持て余してたあたしは何となく、布団に潜っていた、誰に言われたわけでもなくね。  別にどこに居たわけでもなく、自分の部屋のベットに潜ってただけで。  お昼を回った頃、いっぱい眠ったおかげであたしの眠気はすっかり覚めてしまい、眠る事を拒んでいた。  暇つぶしに、授業中であろう友達にスマフォでLINEを送るけど、反応も無いし…… 「あーーっ!もう!ひま!ヒマ!暇ーーっ!」  等と思わず叫んでも、家の中に居るのはあたし一人っきりで突っ込んでくれる人が居るわけもなく―― (いっそのこと、オシャレなんかしちゃって街にでも出かけよっかな?なんて……)  なんて、よからぬ事を考えたけど。 「ううんっ!駄目ったら、駄目っ! もしも、これでお巡りさんに捕まったりでもしたらホント、上手い言い訳なんてあたしの頭じゃ浮かばないし」  安易な考えしか浮かばないあたしの頭は誰譲りなのよ! なんて、思っていると何かを思い出すように『はっ!』と、視線を窓側に向けた。  わたしの部屋に取り付けられた窓はわたしの頭くらい小さくて、そこから覗くお向かいさんの家には、小学校を卒業してから1度も会っていない幼児の頃から付き合いだった幼馴染が住んでいた。   「居るじゃない! ちょーど都合のいい暇人が、め・の・ま・え・にね」  母の情報によると大学生になってからは家に籠って勉強する事が増えたとか……  よからぬ事もとい、いい案を思いついたあたしはお気に入りである、白のワンピに水色のカーディガンを羽織って夏用コーデに着替えると、さっそくあの人のもとへ――
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