第1章 白球

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 少年の準決勝が始まった。ソフトテニスの7ゲームは、最短で1ゲーム4ポイント先取で1ゲームが終わり、次のゲームに進んでいく。しかし、例えば2-2や3-3になった場合はそこから2点先取した方がそのゲームの勝者となる。  少年はダブルスで出場している。ペアを組んでいる少年との相性も抜群だ。  少年のポジションは後衛。後衛が強くないと前衛は何もできない。 後衛の少年のボール捌きは、今では地区では群を抜いている。その少年は運動は苦手だった。覚えるのも正直いい方ではない。だが、人の倍の努力で少年は今の実力を得た。  1ゲーム目、少年達は4-1という点差で勝つ事が出来た。自分達のペースでやる事が出来た。 2ゲーム目、対戦相手がサーブ権を握っている。対戦相手が最初から攻める事が出来る。相手のサービスが返球の難しいコースに入ってきた。そう、バックハンドで打たなければならないコースだ。  バックハンドのコースでしかもネットに近い所にボールが落ちる。少々ボールに特殊な回転がかかっている。後衛の少年の苦手なボールだ。その少年はなんとかボールを拾うが、そのボールはネットを超えなかった。  このまま相手のペースで展開し、点差が1-3と負けそうだ。  「くそう」  次の点数を落としたらこのゲームが終わってしまう。少年達はある作戦を実行した。
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