第1章

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あぁ、僕はどうして生まれて、どうして生きていて、どうして死ねないのだろう。 そんな答えもわからないまま、レイン=ラルラミエとして生まれたあの日から13年も生きてきた。 母の異能力を奪って、奴隷として10万で祖父母に買われて。 そんなくだらないことを思い出す早朝、少し早く起きすぎたかと、目を閉じて壁に寄りかかった せっかくだから少し思い返してみようと、夢の中で記憶をたどる。 8年前。 気づいたら両親はそこにいなかった。 ジジイとばあさん……祖父と祖母に育てられていた。 いや、飼われていたという方が正しいのかもしれない。 生まれてからすぐに売られ、たった10万で買われた僕。 3歳になればそこからすぐにいろいろ教えこまれた。 一年中、毎日、毎日。 銃を持たされた日も、剣を持たされた日も、殴り合いを強いられた日もあった。 親から受け継いだ有能な血と、持って生まれたこの「目」のおかげで、5歳になった時には普通の大人と大差ない学力も戦闘力もあった。 街に出ると周りの視線が痛い。 それを好き好んで街に出るような性ではない。 でも、その日は違った。 いくら首を切っても切っても、意識を失うだけしかできない自分が嫌になった僕は、なんとなく祖父母の家にある、僕が寝泊まりする小屋を出て街へ向かった。 母に売られ、国中から忌み嫌う視線を向けられる理由の全ては僕の目にあった。 「……呪われた瞳、か」 何千年に一度、うまれるかうまれないかの緋色の目。 それを持って生まれてしまったのが僕だ。 この目と目を合わせると、二度と異能力の使えない身体となってしまう。 国民すべてが異能力者であるこの「黒い国」では、そんな僕は実に都合が悪い存在だった。 有力な暗殺者一家の下に生まれた子、というだけで敵が増えるというのに、いらないオプション付きで生まれた僕はきっと最高に運がない。 それだけでなく、僕は命を断てないのだ。 他人に殺されることも、僕が自分を殺すこともできない。 そんな窮屈な状況で、僕は祖父母に飼われていた。
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